2021/07/30 20:46
皆様はじめまして。
handcraft jewelry studio Atropisomerのワタナベと申します。
BASEのAppsにブログがあるのに気付いて設定したはいいものの、何を書いたらいいものかと暫く放置してしまいましたが、ショップブログということで、まずは販売商品についての細かすぎて商品ページに書けそうにない暑苦しい話を順番にしていこうと思います。
さて今回は、ショップにお出ししている糸魚川黒翡翠ルースです。
こちらは、ジュエリー販売業として転職開業する前の勤め人時代に、糸魚川翡翠の原石業者さんから購入した原石を、研磨業者さんの海外工場にお願いして研磨をしていただいて、出来上がったルースの一部です。
なぜ、宝石の取り扱いを仕事にしてなかった頃にそんなことをわざわざしたのか。
翡翠には緑以外の色もあるのに、緑以外の翡翠は、ビーズか、ルースでも大振りのものがほとんどで、当時自分が欲しかった小さなルースが探しても探しても見つからず、ええいっ、ないならもういっそのこと自分で作っちゃえ、となったからです。
では、なぜ、そこまでして緑以外の翡翠の小さなルースが欲しかったのか。
ショップの説明にも書いてますが、前職の勤め人とは大学教員でした。
研究室には毎年度、卒業研究生として学生が配属されて、配属学生の卒業研究を指導しながら卒業を見守ってました。
そんな教え子たちに、どうせなら卒業を個人的にお祝いしたいと、当時から趣味にしていた銀粘土で一人一人にストラップ程度のちょっとした小物の記念品を作り始めました。
銀は魔除けの縁起物、そこに宝石をあしらうなら社会へ出るお守りの意味も兼ねてやはり本人の誕生石、と考えると、色の好みは人それぞれですので、毎月なるべく違う色の天然石を、ストラップにあしらう程度の小さいサイズで、揃えたくなるまでに時間はかかりませんでした。
1月はガーネットなので赤にピンクにオレンジに緑に、と、色々選べます。
2月は今のところアメシストだけなので、紫一択ですが、頑張ればバイカラーだったりファントムだったり、屁理屈捏ねればグリーンドだっていけます。
3月はアクアマリンと珊瑚で色違い。
4月はダイヤモンドは無理でも、クォーツ系で色々選べます。
とくると、問題は5月です。
エメラルドは緑。翡翠も国内での流通状況では緑以外の小さいルースが見当たりません。
だけど翡翠は緑以外にも様々な色があります。
色がなかったり、あっても値段が極端に違うのなら仕方ないけど、色が存在して原石の値段の差も手が届く程度。
なのに商品として流通してない。そりゃあ諦めが悪くなります。ならどうするか。
ルースでは売ってなくても原石が手に入るならもう自分で作ってしまえ、と。
それが発端でした。
まずはミャンマー産ラベンダー翡翠の原石を入手し、研磨業者さんにお願いして、香港の工場で研磨することになりました。
ところがここで思わぬ事故が起こります。
出来上がりまで時間がかかるとは聞いていたけど時間がかかりすぎと思って問い合わせたところ、なんとロストバゲッジ!orz
海外との荷物のやり取りだと、頻度は低いとはいえ国内と比べてこれが怖いんですよね。
困っていたところ、お願いしていた研磨業者さんから配送業者の変更とタイの工場での研磨の案を出していただいて、手元にあった別の原石で仕切り直すことにしました。
そうしてまず出来上がったのが、糸魚川青翡翠、糸魚川ラベンダー翡翠、ミャンマー産白翡翠の、小さなルースです。
その後、ミャンマー産暖色翡翠と糸魚川黒翡翠の研磨もお願いして、現在の手持ちの翡翠の色になりました。
はい、在庫数の関係でBASEではルース単独としては黒翡翠だけお出ししておりますが、技能検定リングのオプションにしれっと入れてますように、実は黒以外にも4色あるのでした。
なお、BASEで販売している黒翡翠ですが、ルースとしての販売ではこちらでペア合わせしたペアストーンとして、ペア合わせの工賃込みでお出ししております。
勤め人時代に、研磨したはいいもののさすがに使う数を遥かに超えて手持ちがあったため、副業禁止に抵触しないよう実質赤字で別サイトでバラ売りしておりましたが、そちらでペア合わせの需要が多かったためです。
色石は、ダイヤモンドと違ってカットのプロポーションの縛りが緩いため、透明石でも同一ロット内で色合わせ以前にサイズが違っていたりと、ご自分でされたことがある方はご存知と思いますがペア合わせに大変手間がかかります。
ましてや、こちらで販売中の黒翡翠のように、マーブル状の色むらのあるものは、全体の色のトーンと色むらの模様の雰囲気の両方で合わせる必要がありますので、ペア合わせの手間が更にかかります。
それでも、1組ずつでしたらそれなりに手間ではあるものの負担は少ないのですが、時々、事前のお問い合わせもなく突然バラ売りで20個ご購入いただいた上に全てペア合わせのご指示をされるお客様など、ご無理をおっしゃるお客様がいらっしゃいましたので、最初からこちらでペア合わせをした上でペア合わせの工賃を頂戴することといたしました。
どうぞご了承の程よろしくお願いいたします。