2021/07/30 23:16


令和2年度後期貴金属装身具製作技能士3級技能検定実技試験のための練習で作ったリングです。
石座となるパイプと、腕となる棒は、定められた寸法で会場に持ち込んでの実技試験になります。
指定寸法に対する許容誤差±0.1mmの精度で、リングの土台を作り、甲丸に削り、パイプを嵌め込んで、パイプの横に窓を開け、仕上げの処理を行います。
この作業を合計3時間以内で行います。
どの作業工程も、非常に基本的な作業の組み合わせになっていて、よく考えられた課題なんだろうなと受験する私は感心してたのですが、通っているジュエリー教室の講師からは「受験資格が特にない3級受ける人にこの作業をこの精度で要求するのは酷」とちょいちょいツッコミが入ってました。(笑)

さて、持ち込み材料であるパイプと棒ですが、定められた寸法のものは市販されてません。
業者さんに頼んで作ってもらうことは可能ですが、依頼できる最低量はkg単位と、個人の消費量を遥かに上回ります。
東京のように同時期受験者が多い地域ですと、受験者でまとまって業者依頼することもあるようです。
しかしながら、地方受験ではそうはいきません。私の受験会場は受験者3名でした。
ではどうするか。持ち込み材料から自分で作ることになります。材料作成も技術を覚えるいい勉強になる側面もあります。
そして、材料がないと本題である練習すらできません。
棒は、市販の6mm角棒からローラーで潰して指定寸法に持っていきます。
パイプは、指定寸法の厚みに相当する厚さに板を伸ばしたあと、丸めてろう付けしてパイプにします。
それぞれの材料の作り方をサクッと1行で書きましたが、それぞれの1行の中に焼いたり曲げたり叩いたり引っ張ったり繋げたり切ったりと、様々な作業が含まれています。
そして、材料が指定寸法に合っていないと、練習にすらならないので、練習用の材料作りから精度が必要になります。

そうして自分で用意した材料を使って、ようやく、練習開始です。
練習の進め方は人それぞれですが、教室講師の助言で、私はまず、作業の流れと精度の確認で1回通して作ってみました。
1回目でリングは作れましたが、所要時間は所定の1.6倍くらいかかりました。ここから作業速度を上げる訓練です。
その次に、作業をいくつかの段階に分けて、時間を計りながら段階ごとに練習しました。
この練習を何度も繰り返し、作業ごとのおおよその時間、所要時間に揺れのある作業項目、何かあった場合にリカバリーに要する時間などを、繰り返し確認しながら、所要時間の合計が所定時間内に収まり、かつ、出来上がり寸法が許容範囲内に収まるよう、練習しました。
その後、一連の作業を続けて行って、全体の流れを体に覚えさせました。
という練習を、当初の試験日程に間に合うよう逆算してやっていたのですが、諸般の事情により試験日程が1ヶ月以上遅くなることになったため、試験当日まで作業の流れを忘れないよう1週間に1回のペースで追加で練習してました。
そんなこんなで、練習でリングを20個作ることになったのです。