2021/08/19 12:44
透胎七宝とビーズを組み合わせた、簪用のチェンジャブルチャームです。
2021年7月20日〜7月25日 福岡市美術館 市民ギャラリーA「ジュエリーのこれから」展2021出品作品。作品展テーマ「和」に対する「和装小物」として作成いたしました。
他の作品展出品作品と比べて、販売開始までお待たせいたしました。
今回、透胎七宝でのセミオーダーを企画したために、七宝釉薬の見本の作成と撮影に大変手間取りました。
肉眼で見た色をデジタル画像で再現するの、本当に難しいです。
どうしても色覚の印象の違いが残ったものの、今のところ一番ましな画像ということで、商品ページの公開に踏み切りました。
簪チャームは、私が透胎七宝を始めるきっかけになったアイテムです。
他人との雑談で、何をどこまで話していいのか判断したり相手に相応しい話題を提供したりするのが、子供の頃から苦手で疲れやすい私は、中でも美容院での会話が特に苦手です。
苦手ついでに髪を伸ばして、髪を伸ばすついでにヘアドネーションのボランティアをしています。
数年に1回切った髪は、以前は国内にヘアドネーション団体がなかったためアメリカのLocks of Loveという団体(https://locksoflove.org/)に送ってましたが、今は国内のJapan Hair Donation & Charity (JHD&C)という団体(https://www.jhdac.org/)に送っています。
最近は伸びた髪をまとめるのによく簪を使っています。
今は100均でも色々な簪を気軽に選べますが、自分で作りたいのもあって、当時から趣味でやっていた蜻蛉玉と銀粘土と七宝焼で何か作ろうと考えました。
そうすると、色々と長短があるのです。
蜻蛉玉は丸くて表裏がなくどの方位からも見られるので簪には都合が良いのですが、丸いというのは比表面積が小さいということで場面の面積に対して体積が大きいため、場面を大きくして見栄えを良くしようとすると蜻蛉玉を大きくせざるを得ず重たくなってしまうのです。蜻蛉玉も丸いだけでなくおはじきのような平らなものも作れますが、ガラスの強度を考えるとおはじき型であまり大きなものは使用を躊躇します。
銀粘土は、平らに作って両面に装飾を施せば、同じ体積で場面の大きさと両面からの見栄えの両方を成立させることができますが、色が銀色一色かせいぜい燻しくらいで、色が使えません。
銀粘土に七宝焼を使うと、色を入れられて華やかになりますが、底のある通常の七宝焼では裏側に色が付けられません。(専門の特殊な装置があれば両面に七宝焼施せるのでしょうが、ご家庭で揃えられる道具では無理、という意味です。)
ならば、底のない枠の中に色を入れられたら、表からも裏からも色が見えて、いいですよね。
そう考えて、自分の希望に当てはまる透胎七宝という技法に辿り着きました。
しかしながら、技法の存在は知ることができたものの、教えてくれる場所が見つかりません。
元々、転職前は非常に交通の便の悪い地方都市に住んでおりまして、近隣にハンドメイド系の習い事教室がほとんどなく、銀粘土も七宝焼も蜻蛉玉も全て独学でやってました。
さすがに透胎七宝はたとえ遠方でも正式に直接習いたかったのですが、やろうと思った当時はいくらグーグル先生にお願いしても教えてくれそうな教室がなかなか見つからず、見つかったと思ったら既にワークショップ終了後、ばかりだったのです。
となると、透胎七宝も独学でなんとかせざるを得ません。
これも、作り方を検索しても、なかなか見つからず、断片的な話だったり、違う技法の話と混じっていたり。
結局、一番参考になったのは、有名な七宝焼工房が公開している宣伝用YouTube動画でした。
たぶん細かいコツにつながるような技は企業秘密で見せてないだろうなと思いながら見て、たぶんこうなんじゃないかな劇場状態で再現を試みました。
そうやって自分で試行錯誤して、自分なりのやり方をだいたい掴めて、今に至ります。
だから、七宝焼専門の職人さんが見たら、多少変なことをやってるかもしれません。
さて、こちらの簪チャームは、環状タイプと、ぶら下がりタイプで、ご用意しています。
意匠はおのおの、伝統文様です。
鱗(うろこ):魔除け。厄除け。再生。
桧垣網代(ひがきあじろ):規則性から、礼を尽くす。
分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ):富の象徴。宝尽くし図案の一つ。
氷割れ(ひわれ):元々は早春の氷が溶けるさま。(どじょっこふなっこの「すがこもとけて」です)転じて、冬の結氷、夏の避暑用。
今回、現品販売だけでなく、七宝釉薬とビーズをお好みでお選びいただける、セミオーダーを企画しております。組み合わせることで、お客様だけのお品を作ることができます。
七宝釉薬は、透明釉薬を27種類ご用意しておりまして、そこからお好きな色をお選びください。
仕切りごとに1つの釉薬を使用します。違う色の釉薬を混ぜると、色の元になっている金属同士が反応して色がおかしくなってしまうことがありますので、絵の具のように混ぜることはできません。
使用する釉薬の色の数は、ぶら下がりタイプ現品のように仕切りごと全部変えても、環状タイプ現品のように2色交互でも、全てを同じ色でも、構いません。ただし、赤〜ピンクは釉薬の性質上焼き付けの順番を最後にする必要がありますので、赤〜ピンクからは1色のみお選びいただけます。
組み合わせるビーズのご用意は、環の中にぶら下げる用が7種類、ぶら下がりタイプの上部に連結する用が5種類です。お好きなビーズをお選びください。
また、先に書きましたように、店主はもう20年近くヘアドネーションのボランティアをやっております。ですので、いつかヘアドネーションに関するチャリティを企画しようと考えておりました。今回、ヘアアクセサリーである簪チャームの販売開始にあたり、長年温めていた企画を実行することにしました。なお、チャリティご参加はあくまでも任意ですので、お買い上げには必ずチャリティに参加しないといけない訳ではございませんのでご安心ください。
どうぞよろしくお願いいたします。