2022/04/20 22:49

自分で原型を作って型取りした、オリジナル既製石枠を各種ご用意しました。
いずれもSILVER925での地金代と石留め工賃込みのお値段です。
将来的に別サイズも追加予定です。

石を使ってお仕立てする際、思った以上に工賃がかかりやすいのが、石枠作成です。
これは、使う石の大きさではなく数に比例しますので、石を何個も使いたい場合は材料費に加えてご予算と相談しないといけなくなります。
特に手作りの場合、手間がかかるぶん工賃も高くなります。
その石枠作成(と、同時に行う石留めも込みで)を、対応できる石やデザインの条件は限られますが少しだけお求めやすくできる方法の一つが、現在弊ショップのセミオーダーでお出ししている彫り留めです。

ただ、彫り留めだけでは対応できる条件が限られるため、対応可能な条件をもう少し広げるために、弊ショップオリジナルの石枠をご用意することにしました。
メーカー品の既製石枠もありますが、自前で持っていると加工の自由度が上がりますので、お客さまのご要望に合わせて調整しやすいという利点があります。
まずはラウンドカット用の爪留石枠と覆輪石枠を、いくつかのサイズに対応して、ぶら下げ用の丸カンをあらかじめ1つ取り付けた形でご用意しています。
ゴム型を取りましたので、そのまま業者に出して鋳造する場合と、一旦インジェクションワックスの状態で加工してから鋳造する場合の、両方で対応できます。
このため、たとえば弊ショップの他のセミオーダーのインジェクションワックスと一体化した状態で鋳造することで、後からの繋ぎ目を作ることなく作成することも可能です。
もちろん、ペンダントやピアスやイヤリングなど、一粒石でのシンプルなお仕立てにも便利にご利用いただけます。
ご希望に合わせてご活用ください。

さて、石枠の作成では、狙った大きさに作ることが重要になります。
鍛造での手作り石枠でしたら作った大きさがそのまま使う大きさになりますが、鋳造品それも型取り品ですとそう簡単ではありません。

ロストワックス法による鋳造では、ワックス原型を石膏などの埋没材に埋め込み、埋没材が固まったところでワックスを溶かして流し出し空洞にして雌型を作り、その空洞に溶融金属を流し込むことで、ワックス原型とそっくりな形の金属製品を作ることができます。
このとき、溶融金属と固体金属では密度が変わるため、雌型に流し込んだ溶融金属が固まると体積がわずかに縮みます。ですので、この縮み(引け)をある程度予想してワックス原型を作成する必要があるのですが、全体での縮む割合は決まっていても縮む方向は毎回決まっていないので予定が狂うことがえてしてあります。
また、ワックス原型から鋳造して得られた金属製品を金属原型としてゴム型を取る際に、一般的にゴムを加熱圧縮しますので、ゴム型作成でのゴムの縮みが発生します。これも全体でのおおよその縮む割合は決まっていてもどの方向にどのくらい縮むかは実際やってみないとわかりません。(加熱圧縮せず原型からの縮みがないゴム型作成方法もありますが、出来上がったゴム型の耐久性が下がります)
そして、出来上がったゴム型にワックスを溶かして流し込んだものを鋳造する、というのが、ゴム型を使った複製ですので、鋳造で更にもう1回縮みます。

というわけで、ワックス原型から出発してゴム型を取るというのは、通常、3段階の収縮を逆算する必要があるのです。
今回、特に覆輪枠で、対応サイズの寸法が中途半端なのは、この逆算の予想が外れたからです。
これはこれで、サイズの合う石に使えますので無駄にはなりませんが、やはり規格サイズぴったりの方が便利ですよね。
そのうちリベンジして規格サイズ丁度に対応する覆輪枠をご用意できるよう頑張ります。

どうぞよろしくお願いいたします。