2022/08/12 18:42

二年前に、貴金属装身具製作技能士3級の技能検定を受検して、おかげさまで無事合格しました。
今年度は2級を受検中です。当地では先月末に実技試験が終了し、今月末に学科試験があります。

他の技能検定についてはわかりませんが、貴金属装身具製作技能士の場合、現役の職人さんは3級から2級1級と順番に受検していくとは限らず、実務経験年数でいきなり1級を受検する人が結構います。
受検料だけでなく持ち込み材料費(3級はSILVER925、2級と1級はK18)もかかりますので、経費節約の面もあって、2級は飛ばされがちです。
通っているジュエリー教室の講師も、みなさんいきなり1級を受けた人ばかりです。
なので、2級の課題の作成手法についても、直接経験によるノウハウの詳細がわからず、練習の助言はいただけるのですが最終的に自分で色々工夫しないといけませんでした。

2級の課題ですが、メインは三角錐台の組み立てです。ああこれ、おそらく昔の石綿使ってた頃の組み立て方前提のままなんだろうな、という、今は石綿を使わずにどうしたらいいんだろうと途方に暮れる形状に固定してロウ付けしないといけません。
ちなみに、組み立てパーツを正しい位置に固定する用にあらかじめ形を作った道具(治具)の使用は禁止なので、その場で配置する方法でなんとかするしかありません。
自分でも色々試して、過去にたまたま2級受検経験のあった教室受講生の練習作品を参考にしたりして、補助素材を5種類ほど組み合わせて固定する方法でなんとかしました。

それ以外にも、細工部分の作り方でも、ああでもないこうでもないを練習で繰り返しました。
ちょっと笑ったのが、ある細工部分のとある技法について、講師の一人であるベテラン鍛造職人の全技連マイスター(現代の名工の一歩手前)ならやり方を知ってそう、と質問したところ、「自分はこの技法は使わないのでわからない」という返事だったこと。
その講師はそのあと、知り合いの職人さんに問い合わせて、やり方を調べてくれました。
実際、その技法は、その技法を使う作り方にピンポイントで特化した専門の職人さんは使いますが、今の一般的な職人さんはあまり使わない技法なんですね。
そんな技法を2級受検者にさせるのね、と、設定のチグハグさに可笑しくなりました。これにめげすに手を動かし続けるメンタルも、たぶん受検に必要な条件に含まれてるんでしょうね。

実技試験当日は、指定の試験会場会場に、組合から試験監督が配備されます。
国家資格の試験なので不正行為のないよう試験監督自体は厳正なのですが、おそらく実技試験という状況の緊張をほぐすためと、監督者は現役のベテラン職人さんで好奇心が旺盛なのとで、受検生が使ってる道具などに興味津々で質問してこられます。
店主は一応、入学試験や全く別の国家試験関連で、試験監督はマニュアルに書いてあること以外喋ったらダメな試験の受験経験があるので、国家資格でも試験によって試験監督のお作法が違うのが面白いです。

そんなこんなで、緊張をほぐしていただきましたが、それでも試験会場にはサーキットよろしく魔物が住んでいるものです。
練習の時はやらなかったような失敗をやってしまうのがお約束です。
たとえ作業の大詰めになって気付いた点があっても、作り直す時間も材料もないとなると、そのまま諦めずに最後まで行くしかありません。
実技試験で一番ダメなのは未完成による未提出で、採点を一切してもらえないのです。
提出すれば、少なくとも採点はしてもらえて、あとはどれだけ減点されるかです。
今回、あれやこれややっちまったなな箇所が散見されるものの、いちおう完成させて提出はできましたので、拾うかどうかは減点の配点次第です。
ドキドキ。

今回、もしも実技試験が不合格でも、学科試験を合格しておけば、来年は(受検料も)実技試験だけの受検でよくなります。
気持ちを切り替えて、今月末の学科試験をしっかり受けてきます。