2022/10/25 16:10
一応はジュエリーショップのブログなので、できるだけ、宝石やジュエリー関係の楽しいお話を書きたいのですが、最近の状況からどうしても避けて通れない、あまり楽しくない話題があります。
このところの貴金属相場、特に金相場の高値推移です。
貴金属には、その美しさから宝飾品材料として、様々な特有の性質から工業用原料として、需要があります。それ以外に、世界共通の資産的価値から情勢不安時の通貨の代わりとして、そして、投機対象としての需要もあります。貴金属本来の価値は、欲しい人と産出量のバランスで決まるものですが、そこに、投機が加わると、貴金属本来の価値を飛び越えてしまうことがあります。特に、金は、プラチナよりも投機の対象になりやすいです。
現在の金相場は、世界情勢の不安と、投機によって、ジュエリー業から見ると異様なお値段になっているのが実情です。
本日、日本時間2022年10月25日09時30分公表の、田中貴金属工業さまでの金の価格は、1グラムあたり、店頭小売価格8742円(税込)、店頭買取価格8622円(税込)です。2000年前後の最も下がった頃の金相場は1グラムあたり1000円を切ったこともありましたから、消費税率の違いを考慮しても当時のおよそ8倍近くです。ちなみに昨年2021年と一昨年2020年の最高値はどちらも1グラムあたり7000円前後で、今年の高騰ぶりが伺えます。これはロシアのウクライナへの軍事侵攻が大きく影響しています。更にその前の2011年から2019年までは最高値で1グラムあたり5000円前後を推移していたことから、2020年に相場が急に上がったことが分かります。これは新興感染症の世界的な感染拡大が大きく影響しています。
このように、金相場がどんどん上がっている状況で、ジュエリー業界もゴールドジュエリーの価格に頭を悩ませています。金相場そのままの材料費で素直に価格設定すると、とんでもないお値段になるからです。
実質赤字覚悟でお値段据え置きしていたお店も、もはや限界になり価格改定に踏み切ったりしています。また、見た目は同じデザインでも、金の使用量を減らして価格を抑えるために原型を作り直すお店もあります。そして、昔に比べてK14YGやK10YGなど金の含有量を下げた素材のものが増えてきたのも、そのためです。(ちなみに金製品のうちホワイトゴールドは金の高騰だけでなくパラジウムの高騰の影響も受けます)
店主としましては、値段の高いものを無理に買っていただきたくはありません。弊店は金やプラチナに関しては、お問い合わせをいただいた時点での時価でのお見積りをいたしますが、お値段が見合わなければお断りいただいても全く問題ありませんのでお気になさらないでください。それよりも、今お手元にゴールドジュエリーをお持ちでしたら、どうぞ大切になさってください。買取や下取りのご依頼はご面倒でも古物商許可を取ったお店様と正式なお手続きにてお願いいたします。くれぐれも、変な押し買いに安く買い叩かれたりしないよう、お気をつけください。