2023/01/30 16:19
透胎七宝化学構造式オープンサイクルペンダント各種、ようやく販売開始しました。
ピアス等への追加加工も承りますので、ご希望の場合はオプションからお選びいただけます。
こちらは、2020年4月からCreemaで試作品を出品し、2022年5月に博多阪急での「ジュエリーのこれから」展2022で先行対面販売いたしましたものを、種類と加工オプションの改良追加を繰り返しての、BASEでの正式販売です。大変お待たせしました。
BASE販売に至るまで、これだけ時間がかかったのは、ひとえに、店主のやりたいことに対する私の手が遅いためで、大変申し訳なく思っております。
当初は、博多阪急の直後にBASE販売を開始する予定でしたが、対面販売での「スタッドピアスが欲しい」というご意見に、どうお答えしようかなかなか踏ん切りがつかず、お時間をいただいてしまったのが実情です。スタッドピアスが欲しくなるデザインなのは初めからわかっていたのですけど、スタッドピアスを最初からご用意していなかった、1番の理由は、ピアスポストを取り付けるのが技術的に少々難しい事情があるからです。
詳しい話は省略します(ものすごい量の文章で細かく説明を書いていたのですが、投稿時のエラーで全部消えました)が、ざっくりいいますと「ピアスポストの取り付け方が下手だと、取り付けられないか、ピアスポストが溶ける」ため、ピアスポストを溶かさずに確実に取り付ける技術の習得が必要でした。練習で何本も失敗しましたが、ようやく、安定してピアスポストを取り付けることができるようになりましたので、満を持しての販売開始です。
さて、化学構造式をモチーフとしたアクセサリー類ですが、最近はさまざまなものが販売されています。他のショップ様の作品はそれぞれの個性と魅力があって良いものです。ただし、構造式表現の化学的な正しさの観点から、店主はしばしば不満でした。化学的に違和感のある表現のものが多いからです。
そこに意味を求めず、単なるデザインとして見れば良いのでしょうが、有機化学で博士号を取得し、大学で有機化学を教えていた、店主には、化学構造式っぽく見えるものに対して意味を考えないことができません。
例えるならば、外国語の書かれたTシャツに対して、言葉の意味ではなく単なるデザインとして捉えるか、言葉の意味を捉えるかの、違いです。その言語を母語とする人は、どうしても、言葉の意味が頭に飛び込んできます。そして、おかしな言葉がそこに書かれていると、違和感を感じざるを得ないのです。
他のショップ様の作品に違和感があるなら、自分にとって違和感のないものを自分が作れば良い、というのが、化学構造式ペンダントの作成のきっかけです。たとえば、同じような構造でも、原子の種類によって小さなマッチ棒のような出っ張りがあったりなかったりするのは、原子の手の数が違うから水素がついてるかついてないかが違うからです。生物系の人が化学構造式を書くときはそこを省略する場合がありますが、化学系の人にとってはそこが省略されていると気持ちが悪いのです。
そして、元素記号を使った化学式で構造式を書くと、裏から見ると文字がひっくり返って意味がわからなくなるのが欠点です。今回は、CPK配色という、元素記号の代わりに色で元素を表現する方法を用いて、透胎七宝と組み合わせることで、裏から見ても意味が通じるのが利点です。
とまあ、理屈っぽい話を並べましたが、一人で色々とこだわっているのは店主の勝手ですので、お客さまはどうぞ、理屈は置いておいて構いませんので、化学構造式の幾何学的な形と、CPK配色による色の組み合わせを、お楽しみいただければと思います。
最後におまけ。いわゆる理系ではない人が、いわゆる理系の人のことを「理系」と呼ぶのは、言われた本人としては、対等な人間扱いではなく珍獣扱いされているみたいであまり嬉しくないことが多いです。特に「リケジョ」と騒がれるのは、「あ、はい(棒読み)」となってリアクションに困っていることがしばしばあります。文系理系に限らず、どんな相手に対しても、相手のカテゴリーで判断するよりも、相手一人一人の人となりで判断するのが、素敵だと、自戒を込めて個人的に思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。